雨の音。
一滴が潰れて、水溜まりに溶けていく。
伸びた前髪が、界隈の切れ端を細く切り取る。
露出した膝の皮膚を、冷気が滑り落ちていく。
熱が奪われていく感覚。……これでいい。
誰も視線を投げかけない、世界の行き止まりで。
頭の中の雑線を、一本ずつ抜いていく。
もう、吹き飛ばしてしまおう。
内側に溜まった灰を、残らず掻き出せ。
息の音も、まとわりつく気配も、全部消して。
勝ち負けの境界なんて、最初から引き直したこともない。
外の景色がどう崩れても、ここには届かない。
僕はただ
誰の影も落ちてこない、透明な空洞が欲しいだけ。
靴底が濡れた地面を叩く音。
誰かの気配が、じわじわと周りの空气を押し破ってくる。
首の奥が、嫌な湿気で重くなる。
——言葉の接合面を探すのも、もうやめた。
なら、全部 吹き飛ばしてしまえ。
足跡も、近づく理由も、そのまとわりつく不快な振動も。
風よ荒れろ、撫でるような優しさごと削ぎ落とせ。
僕の景色の中に、指一本すら残すな。
膝の上の雨粒。
前髪の隙間から、一滴、重みを持って落ちていく。
擦れる音すら、もう届かない。
……眩しさを遮るように、まぶたを落とす。